耐用年数とは|法定耐用年数の意味、寿命との違い、過ぎたらどうなるかをわかりやすく解説

パソコンや車、機械、建物など、事業で使う資産を買ったとき、その代金は買った年に全額を経費にできるとは限りません。何年に分けて経費にするかを決めるのが「耐用年数」です。

耐用年数とは、事業で使う資産の購入代金を、何年に分けて経費にするかを決める年数です。税金の計算では、資産の種類ごとに法律で年数が決まっていて、これを「法定耐用年数」といいます。この記事では、法定耐用年数の意味と調べ方、実際の寿命との違い、耐用年数が過ぎたらどうなるか、自分で年数を変えられる場合を順に説明します。自分の資産の年数は、法定耐用年数の検索と耐用年数表で調べられます。

耐用年数とは

建物や機械、車、パソコンのように、長く使ううちに価値が減っていく資産を「減価償却資産」といいます。減価償却資産の購入代金は、買った年にまとめて経費にするのではなく、使える期間にわたって少しずつ経費に分けていきます。この手続きが減価償却で、何年に分けるかを決めるのが耐用年数です。

たとえば、事業用に50万円のパソコンを買ったとします。パソコンの法定耐用年数は4年なので、定額法なら50万円を4年に分けて、毎年12万5,000円ずつ経費にします(最後の年は帳簿に1円を残すため12万4,999円)。土地や骨とう品のように、時間がたっても価値が減らないものは減価償却資産ではなく、耐用年数もありません。

法定耐用年数は省令の別表で決まっている

税金の計算に使う耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で、資産の種類・構造・用途ごとに決まっています。これが法定耐用年数です。個人事業主の所得税も、会社の法人税も、同じ別表の年数を使います。

別表は、建物・車両・器具備品などの有形の資産(別表第一)、機械装置(別表第二)、ソフトウエアや特許権などの無形の資産(別表第三)、牛や果樹などの生物(別表第四)などに分かれていて、細かく分けると約590の区分があります。国税庁が公開している耐用年数表も、この別表をまとめたものです。

主な資産の法定耐用年数

資産別表の区分法定耐用年数
パソコン(サーバー用を除く)器具及び備品 › 電子計算機4年
普通乗用車車両及び運搬具 › 自動車6年
軽自動車(総排気量0.66L以下)車両及び運搬具 › 自動車 › 小型車4年
ルームエアコン器具及び備品 › 冷房用又は暖房用機器6年
事務机・いす(主として金属製)器具及び備品 › 事務机、事務いす及びキャビネット15年
ソフトウエア(販売用の原本を除く)無形減価償却資産 › ソフトウエア5年
木造の住宅建物 › 木造又は合成樹脂造22年
鉄筋コンクリート造の住宅建物 › 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造47年

同じ資産でも、構造や用途で区分が変わります。たとえば建物は、同じ鉄筋コンクリート造でも事務所用なら50年、住宅用なら47年です。表にない資産や細かい区分は、耐用年数の検索で資産の名前や種類から探せます。

出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一・別表第三(e-Gov法令検索、令和8年5月22日施行の版)。最終確認日:2026年10月18日。

耐用年数と実際の寿命の違い

法定耐用年数は、経費に分ける期間を決めるための税法上の年数で、その資産が実際に何年使えるかとは別のものです。木造の住宅の法定耐用年数は22年ですが、22年で住めなくなるわけではありませんし、パソコンを4年より早く買い替えることもあります。

建物や設備の話では、耐用年数という言葉がいくつかの意味で使われます。

呼び方意味決まり方
法定耐用年数税金の計算で、購入代金を経費に分ける年数省令の別表で一律に決まる
物理的な耐用年数(寿命)壊れたり傷んだりして使えなくなるまでの年数品質・使い方・手入れで変わる
経済的な耐用年数修理代や性能の古さから見て、使い続ける価値がある年数市場や技術の変化で変わる

不動産の広告や住宅メーカーの説明で「耐用年数」と言うときは、寿命の意味のことも多いので、税金の話かどうかを見分けて読む必要があります。

耐用年数が過ぎたらどうなるか

減価償却が終わり、帳簿に1円が残る

平成19年4月1日以後に取得した資産は、耐用年数が過ぎると購入代金のほぼ全額を経費にし終わり、帳簿上は1円の価額(備忘価額)で残ります。以後、その資産の減価償却費は出ません。

耐用年数が過ぎても、資産を使い続けて問題ありません。帳簿に1円で残しておき、捨てたときや売ったときに処理します。捨てた(除却した)ときは残りの1円が除却損になり、売ったときは売った金額との差額で売却益・売却損を計上します。

償却資産の固定資産税は続く

事業で使う機械や器具備品などの償却資産には、毎年1月1日に持っている分に固定資産税(償却資産税)がかかります。この評価額は年々下がりますが、取得価額の5%より下には下がらないため、帳簿上の価額が1円になっても、持っている限り税金の対象になり、市区町村への申告も続きます。使わなくなった資産は、除却して申告からも外しておくと無駄な税金を防げます。

耐用年数より前に捨てた場合

耐用年数の途中で壊れて捨てた場合は、その年に残りの帳簿価額をまとめて除却損として経費にできます。残りの年数を待つ必要はありません。

耐用年数は自分で変えられるか

法定耐用年数は、原則として自分で長くしたり短くしたりできません。ただし、次の場合は法定耐用年数と違う年数を使えます。

耐用年数と減価償却費の計算

毎年の減価償却費は、耐用年数ごとに決まった償却率を使って計算します。償却率も同じ省令の別表で決まっていて、計算方法には毎年同じ額を経費にする定額法と、初めの年ほど多く経費にする定率法があります。

取得価額・耐用年数・使い始めた日を入れると、年ごとの減価償却費と帳簿価額を減価償却費の計算で出せます。月割や最後の1円の扱いも、このページで計算式と例を示しています。

少額の資産は耐用年数を使わずに経費にできる

取得価額が少ない資産は、耐用年数で分けずに経費にできる決まりがあります。

取得価額扱い
10万円未満(または使える期間が1年未満)使い始めた年(期)に全額を経費にする
20万円未満まとめて3年で均等に経費にできる(一括償却資産)
40万円未満青色申告の中小企業者等・個人事業主は、年300万円までなら使い始めた年(期)に全額を経費にできる(少額減価償却資産の特例。令和8年4月1日以後の取得。それまでは30万円未満)

特例は令和11年3月31日までに取得したものが対象で、会社は常時使用する従業員が400人以下などの条件があります。主な事業でない貸付けに使う資産は、どの扱いも使えません。

出典:国税庁 タックスアンサー「No.2100 減価償却のあらまし」「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(令和8年4月1日現在法令等)。最終確認日:2026年10月18日。

減価償却費はお金が出ていかない経費

減価償却費は、資産を買ったときにすでに払ったお金を、あとから経費に分けているだけなので、その年にお金は出ていきません。そのため、銀行は借入の返済に回せるお金を「利益+減価償却費」で見ることが多く、耐用年数が短い資産を多く持つ会社ほど、利益に比べて手元に残るお金が多くなります。返済の余力の考え方は会社の借入可能額の考え方で解説しています。

よくある質問

「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表に、資産の種類・構造・用途ごとに決められています。国税庁が公開している耐用年数表も、この別表をまとめたものです。資産の名前や種類から探すときは、別表の全区分を検索できるツールを使うと早く見つかります。

使い続けて問題ありません。法定耐用年数は経費に分ける期間を決めるための年数で、使ってよい期限ではありません。耐用年数が過ぎると減価償却が終わり、帳簿上は1円の価額で残ります。

中古の資産は、残りの使える年数を見積もるか、見積もりが難しいときは簡便法で、新品より短い耐用年数にできます。簡便法では、法定耐用年数の一部を経過した資産は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」、全部を経過した資産は「法定耐用年数×20%」で計算し、1年未満は切り捨て、2年に満たないときは2年にします。

捨てた(除却した)年に、その時点の帳簿価額をまとめて経費(除却損)にできます。耐用年数の途中でも、残りの年数分を待つ必要はありません。

まとめ

耐用年数は、事業で使う資産の購入代金を何年に分けて経費にするかを決める年数で、税金の計算では省令の別表で決まった法定耐用年数を使います。実際の寿命とは別のもので、耐用年数が過ぎても資産は使い続けられ、帳簿に1円が残ります。中古の資産は短い年数にでき、少額の資産は耐用年数を使わずに経費にできます。自分の資産の年数は法定耐用年数の検索と耐用年数表で、年ごとの経費の額は減価償却費の計算で確認してください。

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