事業融資を申し込む前に、「自社はいくらまで借りられるのか」を大まかにでも把握しておくと、 資金計画や交渉の進め方を立てやすくなります。金融機関の融資審査では、 年間キャッシュフロー(返済原資)と自己資本比率(財務の安全性)の2つを軸に、 借入可能額の目安が決まる考え方が広く使われています。
この記事では、この2つの指標から借入可能額を試算する方法を解説します。
年間キャッシュフロー・自己資本比率・既存の有利子負債残高・既存借入の年間返済額・想定金利・希望返済期間を入力すると、 返済負担率から見た借入可能額と、債務償還年数から見た借入可能額の両方を確認できます。
年間キャッシュフローと自己資本比率を入力すると、返済負担率と債務償還年数の目安から、 借入可能額の目安を試算できます。
自己資本比率とは、総資産のうち返済不要の自己資本(純資産)がどのくらいを占めるかを示す指標で、 財務の安全性を測る代表的な指標のひとつです。自己資本比率が高いほど、 金融機関は「多少の業績悪化があっても倒産しにくい」と判断し、借入余力を大きく見積もる傾向があります。
| 自己資本比率 | 返済負担率の上限の目安 | 債務償還年数の上限の目安 |
|---|---|---|
| 30%以上 | 45% | 15年 |
| 20%以上30%未満 | 40% | 12年 |
| 10%以上20%未満 | 30% | 10年 |
| 0%以上10%未満 | 20% | 8年 |
| 債務超過(0%未満) | 10% | 5年 |
上の数値は一般的な融資審査の考え方を単純化した目安であり、実際の審査基準とは異なります。 業種・事業計画・保全状況(担保・保証)なども加味されるため、あくまで大まかな目安として使ってください。
自己資本比率を高めるための資金調達方法の考え方は 資金調達方法の選び方 でも解説しています。
債務償還年数とは、「今ある借入を、年間キャッシュフローで何年かけて返し終えられるか」を示す指標です。 既存の有利子負債残高を年間キャッシュフローで割って計算し、この年数が短いほど、 財務的な余力があると判断されます。
新規の借入を検討する場合、既存の有利子負債残高に新規の借入額を加えた合計が、 目安の債務償還年数の範囲におさまるかどうかが、ひとつの判断基準になります。 既存の借入が多いほど、新規に借りられる余地は小さくなる点に注意が必要です。
返済負担率から計算する借入可能額は「毎月・毎年、無理なく返済できる金額」を基準にした考え方で、 債務償還年数から計算する借入可能額は「既存の借入と合わせて、何年で返し終えられるか」を基準にした考え方です。 視点が異なるため、実際の借入可能額は両方を計算して、低い方が採用されるのが一般的です。
事業融資の返済負担そのものをより詳しく試算したい場合は 事業融資の返済シミュレーション もあわせてご覧ください。
企業(事業融資)か個人(住宅ローンなど)かを選び、収入や既存借入の状況を入力するだけで、 無理なく返済できる借入の上限額 を試算できる無料ツールです。
借入可能額の目安が分かっても、それが必ずしも最適な資金調達方法とは限りません。 自己資本比率が低い状況では、借入を増やすより先に検討すべき選択肢もあります。 まずは3つの質問で、優先的に検討すべき資金調達方法を確認してみましょう。
自己資本比率の水準・資金の使いみち・必要なスピードを選ぶと、 借入以外の選択肢も含めて、優先的に検討すべき資金調達方法を確認できます。
借入可能額は一時点のスナップショットであり、決算のたびに数値が変わります。 資金調達を計画的に進めたい場合は、日頃から自己資本比率とキャッシュフローの推移を把握しておくことが重要です。
会社の借入可能額は、年間キャッシュフローから見た返済負担率と、自己資本比率の水準に応じた債務償還年数という 2つの視点から目安が決まり、低い方が採用されます。自己資本比率が高いほど借入余力は大きく見積もられるため、 資金調達を計画する際は、目先の借入だけでなく財務体質そのものの改善もあわせて検討しましょう。