システム導入や業務の見直しを提案するとき、「月に何時間減ります」だけでは、決裁者に伝わりにくいものです。
工数削減の効果は、削減時間に時間単価を掛けて金額にし、初期費用を回収するまでの月数で判断できます。判断されるのは「いくら得か」「いつ元が取れるか」です。ここでは、工数の削減を金額に換算し、投資回収の見通しまで出す手順を整理します。
・1回あたりの現状の作業時間と、改善後の作業時間
・実施頻度(1日◯回、週◯回、月◯回)
・対象人数
・時間単価
・初期費用と月額費用(投資回収を見る場合)
年間削減時間 = (現状の分 − 改善後の分) ÷ 60 × 年間の実施回数 × 対象人数
年間削減額 = 年間削減時間 × 時間単価
投資回収月数 = 初期費用 ÷ (年間削減額 ÷ 12 − 月額費用)
3年ROI = (年間削減額 × 3 − 3年間の総費用) ÷ 3年間の総費用 × 100
週の頻度なら年間52回、月の頻度なら年間12回、日の頻度なら年間の稼働日数(目安は240日)を掛けて、年間の実施回数にします。3年間の総費用は、初期費用に月額費用の36か月分を足した額です。
1回30分かかっていた作業が5分になり、1人1日3回、4人で行っているとします。時間単価は3,000円、年間の稼働日数は240日、導入の初期費用は30万円、月額は2万円と仮定します。
年間の実施回数は 3回 × 240日 = 720回。1回あたり25分の削減なので、
年間削減時間 = 25 ÷ 60 × 720 × 4人 = 1,200時間
年間削減額 = 1,200 × 3,000円 = 360万円
1人月を160時間(8時間×20日)とすると、約7.5人月分です。1人月の換算は1人月は何時間?人日・人月の変換方法と早見表で解説しています。
投資回収月数 = 30万円 ÷ (360万円 ÷ 12 − 2万円) = 30万円 ÷ 28万円 ≒ 1.1か月
3年間の総費用 = 30万円 + 2万円 × 36か月 = 102万円 なので、3年ROI ≒ 約959% です。
稟議では、1案だけを示すより、複数の案を同じ条件で並べたほうが判断されやすくなります。次は、同じ形式で計算した2案の比較例です(数字はすべて仮定の例です)。
| 案 | 年間削減額 | 初期費用 | 月額費用 | 投資回収 | 3年ROI |
|---|---|---|---|---|---|
| A:定型メールの自動化 | 360万円 | 30万円 | 2万円 | 約1.1か月 | 約959% |
| B:議事録の共有化 | 240万円 | 120万円 | 5万円 | 約8.0か月 | 約140% |
同じ表に並べると、削減額が大きい案でも、投資回収が遅ければ優先順位が変わることが分かります。比較の軸は、年間削減額、投資回収月数、3年ROIの3つにそろえると、決裁者が見比べやすくなります。改善案に工数管理ツールの導入を含める場合、候補の比べ方は工数管理ツールの選び方で解説しています。
時間単価は、給与だけでなく社会保険料などの会社負担を含めた人件費総額を、年間の稼働時間で割って求めるのが基本です。正確な数字がなければ、社内で使っている原価単価や、外注に出したときの単価で代用できます。
単価の出し方を変えると結果も変わるため、比較する案どうしは同じ単価で計算してください。
削減した時間が、そのまま人件費の削減になるわけではありません。空いた時間が別の業務に使われて初めて、価値になります。そのため、次のように伝え方を分けると説得力が増します。
・残業が減る、外注費が減るなど、実際に支出が減る分
・空いた時間で、売上を生む業務や品質向上に振り向けられる分(機会の価値)
前者だけで投資回収できるかを確認し、後者は上乗せとして示すと、保守的で信頼される試算になります。削減後の時間は、実測値で置き直せるようにしておくと、稟議後の効果検証にも使えます。
複数の改善案を保存して比較表にまとめ、Excelで出力して稟議資料に添付できると、計算のやり直しが減ります。
工数計算ツールは、LPで数字を入れるだけで年間削減額と投資回収月数を確認できます。案を保存して比べたい場合は、有料版の無料トライアル(30日間、メールアドレス登録は不要)で続きから試せます。
中小企業の管理部門の場合:経費精算の作業を見直す案と、議事録の共有化の案を、同じ条件で並べて稟議に出しました。経費精算の案は、投資回収が約1か月と短く、年間の削減額も大きいため評価されました。議事録の案は回収に8か月かかり、年間の削減額も小さかったため、次年度の検討に回されました。
中小企業のDX担当の場合:社長から「その時間は本当に減るのか」と聞かれました。そこで、定型メールの作業を1回30分から5分に短縮できるかを実際に計ってから、その数字で計算し直しました。残業が減る分だけで投資を回収できることを先に示し、空いた時間の価値は上乗せとして別に示したところ、導入の判断がスムーズに進みました。
業務の見直しや改善で減った作業時間を、時間単価と掛けて金額にしたものです。時間と金額の両方で示すと、決裁者に判断材料として伝わりやすくなります。
(改善前の作業時間 − 改善後の作業時間)× 年間の実施回数 × 対象人数 で年間の削減時間を出し、時間単価を掛けると年間の削減額になります。初期費用を年間の削減額から月額費用を引いた額で割ると、投資回収月数が出ます。
まず作業を、1回あたりの時間と実施頻度で書き出します。時間と頻度を掛けた値が大きい作業から見直すと、効果の大きい案を選びやすくなります。
工数削減の効果は、時間の差、頻度、人数、単価の掛け算で年間削減額まで求められます。初期費用と月額費用を入れれば、投資回収月数とROIも出せます。
数字を入れるだけで計算を確認したい方は工数計算ツールをご利用ください。見積もりの根拠の作り方は工数見積もりのやり方|手法・根拠の作り方とよくあるミスでも解説しています。
人月・人日の換算から、必要人数・期間の逆算、工数削減の効果を金額で出す計算まで。
登録なしで、その場で計算できます。
たとえば1回30分の作業を5分に短縮すると(1日3回・4人・時給3,000円・年240日)、 年間1,200時間・ 3,600,000円の削減になります。
計算は登録不要。保存のトライアルもメールアドレスの登録は不要です。