労務単価とは|公共工事設計労務単価の決まり方・含まれるもの・積算と下請代金での使い方

建設工事の見積もりや下請代金の話になると、「労務単価」という言葉がよく出てきます。毎年のように上がっていると聞く一方で、何が含まれていて、どう使う数字なのかは分かりにくいものです。

労務単価(正式には公共工事設計労務単価)は、国土交通省と農林水産省が公共工事の予定価格を積算するために毎年決める、都道府県別・職種別の1日8時間あたりの賃金の単価です。47都道府県・51職種について決められ、毎年3月から新しい単価が適用されます。この記事では、単価の決まり方、含まれるもの・含まれないもの、人工数を使った労務費の計算、下請代金や民間工事での扱いを説明します。

労務単価の決まり方

労務単価は、国土交通省と農林水産省が毎年10月に行う「公共事業労務費調査」をもとに決まります。両省が所管する公共工事のうち、1件1,000万円以上の工事を無作為に選び、その工事で働く建設技能者の賃金を、元請・協力会社の賃金台帳から調べます。集めた賃金を所定労働時間内8時間あたりに直し、都道府県別・職種別に集計して単価を決めます。

令和8年3月から適用する単価のもとになった令和7年10月の調査では、有効な工事が10,031件、有効な標本(調べた技能者)が85,670人でした。単価は例年2月ごろに発表され、3月から適用されます。標本が足りない職種は単価が設定されないことがあり、令和8年度は建築ブロック工が設定されませんでした。

労務単価に含まれるもの・含まれないもの

労務単価は、次の4つを合わせた額です。

含まれるもの内容
基本給相当額所定労働時間内8時間あたりの基本の賃金
基準内手当その職種の通常の作業条件・作業内容の労働に対する手当
臨時の給与賞与など
実物給与食事の支給など

次のものは含まれていません。

・時間外・休日・深夜の労働の割増賃金
・その職種の通常の作業条件・作業内容を超える労働に対する手当
・現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練の費用など)と一般管理費などの諸経費

つまり、労務単価は「職人1人に1日分として支払われる賃金」の水準で、会社が人を雇うためにかかる社会保険料の会社負担や、会社の経費は入っていません。公共工事の積算では、これらの経費は現場管理費などに別に計上されています。国土交通省は、単価に経費を足した参考値もあわせて公表しています。

労務費の計算方法

工事の労務費は、職種ごとの労務単価に、その作業に必要な人工(にんく)数を掛けて出します。人工数は「人数 × 日数」で、作業ごとに必要な人工数の目安を「歩掛(ぶがかり)」と呼びます。

労務費 = 労務単価 × 人工数(人数 × 日数)

たとえば宮城県の電工の令和8年度の労務単価は29,900円です。電工3人が5日かかる作業なら、人工数は3人 × 5日 = 15人工で、労務費は 29,900円 × 15 = 448,500円です。残業や休日の作業がある場合は割増分を、自社の見積もりでは法定福利費などの経費を、別に見込む必要があります。

都道府県と職種を選んで今年度の単価と前年からの上がり幅を確かめたり、人工数を入れて労務費を計算したりするときは、労務単価 検索・計算ツールを使えます。

工事ごとの労務費・材料費の管理は工事原価管理、記録のしかたは工事台帳で解説しています。

下請代金と民間工事での扱い

労務単価は公共工事の積算のための単価ですが、建設業法第34条第2項にもとづいて中央建設業審議会が勧告した「労務費に関する基準」で、すべての建設工事の請負契約で確保されるべき「適正な労務費」を計算するときの基礎となる水準に位置づけられています。公共工事・民間工事を問わず、下請取引も含めて、この適正な労務費を確保することが求められています。

また、国土交通省は、労務単価には事業主が負担すべき必要経費が含まれていないことから、「下請代金に必要経費分を計上しない、または下請代金から値引くことは不当行為」としています。労務単価の額をそのまま下請代金の1日あたりの額にしてしまうと、法定福利費などの経費が抜け落ちる点に注意が必要です。

労務単価の上がり方

労務単価は、平成25年度の改定で法定福利費相当額を反映するなどの見直しが行われてから、令和8年度まで14年連続で上がっています。全国全職種の加重平均は、平成25年度の15,175円から令和8年度は25,834円になり、約1.7倍です。人手不足と処遇改善の流れから、上がる傾向が続いています。

人件費の上昇を販売価格に反映するときの考え方は価格交渉をロジカルに検討する、資材の値動きは企業物価指数の推移(品目別)で確認できます。

よくある質問

同じではありません。労務単価は公共工事の予定価格を積算するための単価で、賃金台帳の調査をもとに決めた所定労働時間内8時間あたりの額です。実際の賃金は会社ごとに決まります。ただし、建設業法にもとづく「労務費に関する基準」で、適正な労務費を計算するときの基礎になる水準と位置づけられています。

毎年2月ごろに国土交通省が発表し、3月から適用されます。前の年の10月に行う公共事業労務費調査の結果をもとに決まります。

労務単価は公共工事の積算のための単価ですが、建設業法にもとづく「労務費に関する基準」で、公共工事・民間工事を問わず、下請取引を含めて確保されるべき適正な労務費の計算の基礎となる水準と位置づけられています。民間工事の見積もりでも、目安としてよく使われます。

まとめ

労務単価(公共工事設計労務単価)は、公共工事の積算のために毎年決まる、都道府県別・職種別の1日8時間あたりの賃金の単価です。割増賃金や法定福利費などの経費は含まれていないので、見積もりや下請代金では経費を別に見込む必要があります。民間工事でも、適正な労務費の基礎となる水準として扱われています。

出典と確認日

この記事の内容は、国土交通省「公共事業労務費調査・公共工事設計労務単価について」と、令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価の報道発表資料に基づいています。最終確認日:2026年10月15日。労務単価は毎年2月ごろに改定されるため、改定に合わせて数字を更新します。

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