人件費の原価計算とは|工数から利益率を正しく把握する方法

原価計算というと、仕入や材料費をイメージする方が多いかもしれません。 しかし、サービス業や受託開発、コンサルティングのように「人が動いた時間」そのものが商品になる事業では、 人件費を原価に正しく組み込まないと、利益率を大きく見誤ります。

本記事では、人件費を原価計算に含める考え方と具体的な計算例、実務で気をつけるポイントを整理します。

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なぜ人件費は原価計算から抜け落ちやすいのか

材料費や外注費は、請求書や領収書という形で金額がはっきり見えるため、原価として意識しやすいコストです。 一方、人件費は毎月の給与としてまとめて支払われるため、 「この案件に、実際どれだけの人件費がかかったか」が見えにくくなります。

その結果、材料費や外注費だけを原価として利益率を計算し、 「この案件は黒字だ」と判断してしまうケースが少なくありません。 実際には、担当者の稼働時間という見えないコストが積み上がっており、 人件費まで含めて計算すると赤字だった、ということが起こります。

人件費を原価に含めないとどうなるか

特に影響が大きいのが、受託開発やコンサルティング、士業のように、 人の稼働時間そのものが提供価値になっている事業です。 このような事業では、材料費・外注費がほとんどかからない案件でも、 担当者が何十時間もかけていれば、実質的な原価は決して低くありません。

人件費を原価に含めずに受注価格を決めてしまうと、 「工数がかかる案件ほど、実は利益率が低い」という状態に気づけないまま、 同じような案件を繰り返し受注してしまうことになります。 この構造は 案件増えてるのに儲からない理由 でも扱っています。

人件費を原価に組み込む考え方

人件費を原価計算に組み込む基本的な考え方はシンプルで、 「時給換算した人件費」に「その案件にかかった工数(時間)」を掛け合わせるというものです。

項目 内容
時給換算した人件費 月給・賞与・社会保険料の会社負担分などを含めた年間人件費 ÷ 年間労働時間
工数(時間) その案件・商品・サービスに、実際に担当者が費やした時間
人件費原価 時給換算した人件費 × 工数

給与だけでなく、賞与や社会保険料の会社負担分まで含めて年間人件費を計算しておかないと、 時給換算した金額が実態より低く出てしまう点には注意が必要です。

計算例

たとえば、年間人件費(給与・賞与・社会保険料込み)が480万円、年間労働時間が2,000時間の担当者がいるとします。

項目 数値
年間人件費 480万円
年間労働時間 2,000時間
時給換算した人件費 480万円 ÷ 2,000時間 = 2.4万円 / 時間 … ではなく、2,400円 / 時間
ある案件にかかった工数 40時間
その案件の人件費原価 2,400円 × 40時間 = 96,000円

この案件の受注金額が10万円だった場合、材料費や外注費がほぼゼロだとしても、 人件費原価だけで9.6万円かかっているため、利益はわずか4,000円しか残らないことになります。 材料費・外注費だけを見て「利益率96%」と判断してしまうと、実態とはまったく違う数字になってしまいます。

人件費原価計算で気をつけるポイント

人件費を原価に組み込むときは、次の2点にも注意が必要です。

間接時間も考慮する

担当者の労働時間には、案件に直接関わる作業時間だけでなく、会議、事務作業、教育・研修といった 「案件に直接紐づかない時間」も含まれます。これらの間接時間を無視して年間労働時間を計算すると、 時給換算した人件費が実態より低く見積もられてしまいます。

稼働率を踏まえて判断する

すべての労働時間が案件に使われるわけではないため、実際に案件へ充当できる時間(稼働率)を踏まえて、 時給換算した人件費を調整することも重要です。稼働率が低いのに気づかないまま案件を受注し続けると、 粗利で判断して失敗するパターン5選 で扱っているような、粗利だけを見て失敗するパターンに陥りやすくなります。

人件費原価計算をツールで効率化する

人件費原価計算は、考え方自体はシンプルですが、担当者ごとの時給換算や、 案件ごとの工数集計を手作業で行うのは手間がかかります。 時給換算した人件費と工数を入力するだけで、案件ごとの人件費原価を自動計算できるツールを使えば、 この計算を都度エクセルで組み直す必要がなくなります。

人件費原価計算ツール

時給換算した人件費を工数に掛け合わせ、案件・商品ごとの人件費原価を自動で算出できる無料ツールです。 人件費を含めた原価と利益率を、感覚ではなく数字で確認できます。

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まとめ

材料費や外注費だけを原価として利益率を判断すると、 人が動いた時間そのものが価値になる事業ほど、実態とかけ離れた利益率になってしまいます。 時給換算した人件費に工数を掛け合わせて人件費原価を算出し、間接時間や稼働率も踏まえて調整することで、 案件ごとの本当の利益率が見えるようになります。

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