掛け率とは|計算方法と早見表、見積もり・卸での使い方

仕入れ先から「7掛けで」、見積書に「掛け率55%」と書かれていて、意味や計算の仕方が分からないことがあります。

掛け率とは、定価(上代)に対する仕入値・卸値(下代)の割合です。7掛けは定価の70%、掛け率55%は定価の55%で取引するという意味です。この記事では、掛け率の計算式、早見表、「掛け率30%」の読み方、見積もりや卸での使い方、仕入と販売の掛け率から粗利を出す方法を説明します。

掛け率とは

掛け率は、定価を100%としたときに、実際の取引価格が何%になるかを表す数字です。定価のことを「上代(じょうだい)」、仕入値や卸値のことを「下代(げだい)」とも言います。

「〇掛け」という言い方もよく使われ、7掛けは70%、8掛けは80%、5.5掛けは55%です。小売店がメーカーや問屋から仕入れるときのほか、建設・設備の見積もりで、メーカーの定価に掛け率を掛けて単価を出すときにも使われます。

掛け率の計算方法

知りたいものに合わせて、次の3つの式を使い分けます。

知りたいもの計算式例
下代(仕入値・卸値)定価 × 掛け率10,000円 × 70% = 7,000円
掛け率下代 ÷ 定価 × 1006,500円 ÷ 10,000円 × 100 = 65%
定価下代 ÷ 掛け率7,000円 ÷ 70% = 10,000円

Excelでは、定価をB2、掛け率をC2(70%など)に入れて、下代は =B2*C2、掛け率は =D2/B2(D2が下代)で求められます。数字を入れてすぐに計算したい場合は、掛け率計算ツールで、下代・掛け率・定価のどれからでも計算できます。

早見表(定価10,000円の場合)

掛け率呼び方下代定価で売ったときの粗利率
20%2掛け2,000円80%
30%3掛け3,000円70%
40%4掛け4,000円60%
50%5掛け5,000円50%
55%5.5掛け5,500円45%
60%6掛け6,000円40%
70%7掛け7,000円30%
80%8掛け8,000円20%
90%9掛け9,000円10%

定価のとおりに売る場合、粗利率は「100% − 掛け率」です。7掛けで仕入れて定価で売れば、粗利率は30%になります。値引きして売る場合は、実際の売価を使って粗利率を計算し直します。

「掛け率30%」は「30%引き」ではない

掛け率30%は、定価の30%の価格で取引するという意味です。定価10,000円なら3,000円です。「30%引き」(7,000円)と取り違えやすいので注意が必要です。

値引きの割合で言いたい場合は、「掛け率70% = 30%引き」のように、100から引いた数字になります。取引先とのやり取りで「掛け率」と「値引き率」のどちらを言っているかを確かめてから計算してください。

見積もりでの掛け率の使い方

建設・設備工事やシステムの見積もりでは、メーカーの定価(カタログ価格)に掛け率を掛けて、見積単価を出すことがあります。

見積単価 = 定価 × 掛け率
見積金額 = 見積単価 × 数量

定価25,000円の設備を掛け率55%で3台なら、見積単価は25,000 × 0.55 = 13,750円、見積金額は13,750 × 3 = 41,250円です。見積書の明細では、定価と掛け率を並べて書いておくと、相手が単価の根拠を確かめやすくなります。

仕入と販売の掛け率の差が粗利になる

卸売や工事の見積もりでは、仕入れるときの掛け率と、販売するときの掛け率の両方が出てきます。その差が自社の粗利です。

定価25,000円の設備を、仕入れ先から掛け率55%(13,750円)で仕入れ、お客様に掛け率70%(17,500円)で販売すると、粗利は17,500 − 13,750 = 3,750円です。粗利率は 3,750 ÷ 17,500 × 100 ≒ 21.4%になります。

掛け率の差は15ポイントでも、粗利率は15%ではありません。粗利率は販売価格を分母にするためです。粗利率の計算式と、目標の粗利率から売価を出す方法は、粗利率の計算式と出し方で解説しています。

掛け率と原価率・粗利率・値入率の関係

指標何に対する割合か式
掛け率定価に対する取引価格取引価格 ÷ 定価
原価率実際の売価に対する原価原価 ÷ 売価
粗利率実際の売価に対する粗利(売価 − 原価)÷ 売価
値入率(売価基準)値付けした売価に対する予定の利益(売価 − 原価)÷ 売価

定価のとおりに売るなら、仕入の掛け率と原価率は同じ数字になります。値引きして売ると売価が下がるので、原価率は掛け率より高く、粗利率は低くなります。

掛け率を決めるとき・交渉するときの注意

・送料・手数料の負担をそろえる:同じ掛け率でも、送料や決済手数料をどちらが負担するかで、実際の利益は変わります。
・返品・売れ残りの扱いを確かめる:買い取りか委託かで、売れ残ったときの負担が違います。
・掛け率だけで比べない:掛け率が低くても、最低発注数が多い、支払いが早いなど、条件全体で比べて判断します。値上げや条件の見直しを相手に伝える考え方は、価格交渉をロジカルに検討するも参考になります。

よくある質問

定価の30%の価格で取引するという意味で、「3掛け」とも言います。定価10,000円の商品なら3,000円です。定価から30%引くという意味ではない点に注意してください。

定価の55%で取引するという意味で、掛け率55%、「5.5掛け」です。定価20,000円なら11,000円になります。

メーカーの定価に掛け率を掛けて単価を出し、数量を掛けます。定価25,000円・掛け率55%・数量3なら、単価13,750円、合計41,250円です。

まとめ

掛け率は定価に対する取引価格の割合で、7掛けなら定価の70%です。下代は「定価 × 掛け率」、掛け率は「下代 ÷ 定価」で求めます。仕入と販売の掛け率の差が粗利になりますが、粗利率は販売価格を分母にするため、掛け率の差とは一致しない点に注意してください。自社の定価で早見表を作りたいときは、掛け率計算ツールに定価を入れると、2掛け〜9掛けの下代と粗利率がまとめて出ます。

戻る